本年度は、神代文字の近代における需要を考えるために、中里義美に着目した。 中里は、弁護士でありながら、『神日本』や『神日本魂』といった雑誌を発行し、日本の古代についての普及に全力をそそいだ人物である。この普及には、超古代史という、世界のはじまりは日本であったとか、日本には、独自の文字があったなどの、現在の学説では荒唐無稽と否定されている内容ばかりであった。その中に、神代文字も含まれている。膨大にわたる超古代史の議論の中から、研究者が従来から取り組んでいる神代文字に着目した。 その成果は、「中里義美の神代文字観―『神日本』を中心に―」に(『ASIA』2024)にまとめた。
|