寺院資料の調査をしているチームが対象とする資料は、多くが前近代のものであり、目録作成と大まかな寺院の実体解明が主となっている。特に荒唐無稽な偽書扱いをされている神代文字資料にいたっては悉皆調査では見向きもされず、神代文字信奉者である松本善之助が『合本ほつま』(日本翻訳センター、2013年)などで一部紹介しているに留まっているのが現状であり、近世以降の思想史として考察・分析には及んでいなかった。本研究課題では、寺院所蔵の文献調査に精通した研究者のほか、近世以降の新興宗教や政治史に長けた研究者の協力を得ることで、神代文字資料の重要性を学界に示すことができた。
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