研究課題
研究活動スタート支援
本研究プロジェクトは、第一に、一般化階層ベイズという統計手法を用いてコーパスデータを分析し、敬語構文の用法を客観的に探索・記述すること、第二に、分散形態論の枠組みで「なぜ敬語が競合するのか」を理論化すること、を二大柱に進められた。現在の言語学ではどの先行研究においても用いられたことのない最先端の統計手法を用いて、敬語の歴史的変化の問題を明らかにし分散形態論における言語変化に大きく道筋をつけた。
定量的言語分析
敬語の研究に限らず、複数の言語表現がどのように選択されているのか、また、歴史的にその選択傾向がどのように変化していくのか、という問い自体は、これまで様々な研究者が向き合ってきた重要な問いであるが、これまで利用されてきた研究手法は、初等統計学の域を出ず複雑な現象を理論的に分析するために必要な適切な量的分析の礎は非常に脆弱であった。しかし、本プロジェクトが成就したことで、最先端である統計手法がどのように言語分析に応用できるのかについて後続研究の範となるモデルケースを示すことができた。