本研究は四国内の仏教寺院で活動していた僧や寺院同士の関係性を明らかにすることを目的としている。 昨年度に行った、諸寺院の文献目録から表紙・奥書・識語等に記された僧の名を整理し、頻度が高い僧を抽出する作業により、僧が赴き典籍を書写した寺院や、特定の僧が書写した典籍を書写している僧、一流伝授の師資関係など、寺院間や僧侶間の交流の実態が確認できた。僧達の活動の一部が明らかになってくると、活動の様相をさらに明確にするために、新たな寺院における調査が必要となった。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、昨年度に引き続き県外の寺院では調査を行うことができなかったが、今年度6月から瑞龍山無盡蔵院正興寺(徳島県鳴門市)に加え、正興寺と関係の深い東明山大谷院童学寺(徳島県名西郡石井町)の徳島県内の二ヶ寺において蔵書の悉皆調査を行った。正興寺では6月25日、7月2・9・16日、9月3・10・17・24日、10月1・8・15・22・29日、11月5・19・26日、12月3・10・24日、1月7・14・28日、2月4・14・18日、3月14・28日に調査を行った。また、童学寺では6月26日、7月10日、9月4・11・18日、10月16・23・30日、11月20日、12月4・11・18日、1月8・22・29日、2月7・21日、3月7・26日に調査を行った。所蔵函ごとに文献番号をつけ、所定の調書に書誌事項を記し、デジタルカメラで撮影を行い、画像を文献番号順に整理した。 上記の調査によって、二ヶ寺の蔵書の様相が確認できつつあり、その結果を所蔵文献目録にまとめる予定である。
|