四国内の仏教寺院で活動していた僧や寺院同士の関係性に注目し、諸寺院の文献目録を参照した。表紙・奥書・識語等に記された僧の名を通覧し、頻度が高い僧を抽出した。その僧が赴き典籍を書写した寺院や、特定の僧が書写した典籍を再び書写した僧、一流伝授の師資関係などを整理し、寺院間や僧侶間の交流の実態を確認した。これらの作業の過程で、徳島県における真言宗寺院の蔵書を調査する必要性が生じたため、他の寺院に影響を与えた瑞龍山無盡蔵院正興寺(徳島県鳴門市)に加え、正興寺と関係の深い東明山大谷院童学寺(徳島県名西郡石井町)の徳島県内の二ヶ寺において蔵書の悉皆調査を行った。
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