平安時代の藤原清輔が行った古典文学研究の様態を、各作品に対する清輔の個別研究と、作品間の関係性に関する清輔の研究とが、相互に連関しながら深化する〈共進化3Dモデル〉として動的に記述することを試みる。研究成果を2点にまとめる。(1)清輔の勅撰集研究と私家集研究は、余白に書き込まれた勘物によって繋がっており、共進化していく。三代集の勘物と三代集以降の勘物は、撰集故実の解明か、その運用確認かという機能の違いがある。(2)考察の基盤となる清輔本諸本の網羅的書誌調査によって、奥書の再解釈による認定の是正や、新出資料の発掘が実現した。古筆切のツレを認定する新たな基準と課題についても新知見を提示した。
|