研究課題/領域番号 |
20K21968
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
陳 曦 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 助教 (10880528)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
キーワード | 複合語 / 日本語 / 複数のアクセント単位 / 発音調査 / 複合語アクセント |
研究実績の概要 |
従来,複数のアクセント単位からなる複合語の音声的実現や,音声的実現に対する文脈環境に注目するような研究はほとんどない。しかし,文脈環境や意味関係によって音声的実現が異なる可能性がある。本研究は複合語のアクセントを題材とし,音声の産出と聴取の両面から①文脈環境が音声的実現に与える影響,②意味関係が音声的実現に与える影響の解明を目指す。 2021年度は主に音声の産出の面から研究を進めた。以下の2つの課題を解決するために,発音調査を行なった。 1.非融合アクセントを持つ複合語が文中に現れる時,後部要素のピッチの動きが実際にどうなっているか,また文中での位置や文脈環境によって音声的実現に違いが生じるか。 2.非融合アクセントで発音されている複合語は前部要素と後部要素の意味関係によって後部要素の音声的実現が異なるか。 具体的には,まず,予備調査を経て,調査語と調査文を最終的に決定した。そして,15名の首都圏成育の日本語母語話者に発音調査をい,音声データが得られた。現在分析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020・2021年度はCOVID-19の感染状況と社会情勢により調査の実施が当初の予定より遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は聴取実験調査を行う予定である。具体的には,(a)調査語の収集と調査文の作成:調査語と調査文は発音調査の(a)から選出する。(b)読み上げ音声の作成と加工:首都圏成育の日本語話者を音声提供者とし,音声を収録する。その後,収録した音声を元に音声分析ソフトで後部要素の高さを数種類に変えて合成音声を作成する。(c)聴取実験の実施:調査用音声を首都圏成育の話者複数名に聴かせて自然度を判断させる。(d)聴取実験による検討:実験結果にもとづき,自然な非融合アクセントの音調を検討する。 また,全体的なまとめ・考察を行う予定である。 なお,研究成果を学会で発表し,さらに論文の形で投稿する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020・2021年度はCOVID-19の感染状況と社会情勢により,当初の計画の遅延・変更が生じたためである。 2022年度は,成果公開の際の英文・日本語校正,調査の際の調査協力者への謝礼金などに使用する予定である。
|