申請者の研究は、日本上代文学史料に見える行政区画外の「国」の考察であった。本来、「国」ではないにもかかわらず、「国」として表現される理由を考えた。行政区画外の「国」該当するものに、「和泉国」、「吉野国(芳野国)」、「難波国」があげられる。これらの地域に共通することは、宮(離宮)が建てられていたということである。さらに、その宮と周辺地域を監理する特別行政機関、「監」(「和泉監」、吉野監」)や「職」(摂津職)が配置され、特別行政区になる。そしてその管理地域が「国」と同等の機能を持つようになった。その地域に関する国家的事業やそれに類する内容が行われる時に、「国」として表現されたと考える。
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