研究課題
今年度は、古ヌビア語の母音組織と母音字重複の音価の解明を目指し、昨年度から引き続き古ヌビア語文献のデジタル翻刻とコーパス化を進めました。古ヌビア語の研究における大きな一歩となったコーパスの開発を、A Reference Grammar of Old Nubian (Peeters 2022)の著者であり、古ヌビア語文法研究の世界的第一人者であるVincent W.J.van Gerven Oei氏と共同で行いました。この進展は、van Gerven Oei氏が2023年3月から2023年6月までの間、日本学術振興会外国人特別研究員(欧米短期)として国立国語研究所に滞在し、共同作業・共同研究ができたことが大きいです。今年度の研究成果としては、すでにコーパス開発について2本の英語論文が採択され、1本はすでに出版されています。この1本はコーパス構築に必要なOCR (光学文字認識) についてで、IEEEというコンピュータサイエンスで著名な学会の国際会議の1つで発表し、プロシーディングズ論文が掲載されました。加えて、van Gerven Oei氏との共著で、古ヌビア語に関する2本の論文を執筆中であり、近々投稿する予定です。これらの研究成果は、古ヌビア語の理解とその文法構造の解明に大きく貢献するものと期待されます。さらに、本研究の集大成として、古ヌビア語の母音体系に関する論文を執筆中です。これらの研究活動は、古ヌビア語の理解深化とその文法構造の解明に対する大きな貢献となることが期待されています。加えて、van Gerven Oei氏との共著で、古ヌビア語に関する2本の論文を執筆中であり、近々投稿する予定です。これらの研究成果は、古ヌビア語の理解とその音韻構造の解明に大きく貢献するものと期待されます。
2: おおむね順調に進展している
本研究は、古ヌビア語の母音組織と母音字重複の音価の解明を目指すものであり、現在までにおおむね順調に進展している。特に、古ヌビア語研究の第一人者であるVincent van Gerven Oei氏との共同研究により、古ヌビア語のコーパス開発が大きく前進したことが挙げられる。さらに、van Gerven Oei氏が2023年3月から2023年6月にかけて日本学術振興会外国人特別研究員(欧米短期)として国立国語研究所に滞在し、古ヌビア語の、形態素解析されたインターリニアグロス付きのコーパスの共同開発を行い、一部を公開したほか、このコーパスを用いた、古ヌビア語の音韻・文法についての共同研究を進めた。これらの研究活動は、古ヌビア語の理解深化とその文法構造の解明に対する大きな貢献となることが期待されている。実際に、van Gerven Oei氏との共著で論文1本投稿し、採択されたほか、古ヌビア語に関する2本の論文を執筆中であり、完成し次第、近々投稿する予定である。これらの研究成果は、古ヌビア語の理解とその音韻構造の解明に大きく貢献するものと期待される。そのほか、コーパス構築に必要な古ヌビア語のOCR(光学文字認識)の開発については国際学会7th IEEE Congress on Information Science and Technology (CiSt) において単著で発表し、プロシーディングズ論文が掲載された。
古ヌビア語の母音組織と母音字重複の音価の解明に向けて、以下の方策を推進していく予定である。現在執筆中のVincent W.J. van Gerven Oei氏との共同研究の論文を国際的な学術雑誌に投稿し、その採否の判明後、研究のブラッシュアップに取り組む。また、van Gerven Oei氏と共同で構築し、一部公開中の古ヌビア語タグ付きインターリニアーグロス付きコーパスのオンライン公開テキストをさらに増加させる。ここでは、van Gerven Oei氏と共同で聖人伝や典礼書などを中心に複数の古ヌビア語文献を追加し、それについて論文を投稿する予定である。このコーパスウェブサイトは、古ヌビア語研究者やヌビア学者にとっても、現代ヌビア語母語話者・継承言語話者にとっても使用しやすいものとなるよう、インターリニアテキストのレイアウトやインターフェースのデザインに関してvan Gerven Oei氏と議論を重ねた上で実装し、ユーザビリティを向上させる。さらに、古ヌビア語文献コーパスにおける開口度が中程度の母音字の音価と母音字重複の音価のこれまでの分析を論文としてまとめ、言語学、あるいは、ヌビア学の、国際的な学術雑誌に投稿する。これらの研究成果をできうる限り国際学会で発表し、研究成果の国際的な共有と議論を促進する。以上の方策を着実に実行することで、古ヌビア語の母音組織と母音字重複の音価の解明に向けて研究を大きく前進させ、古ヌビア語研究の発展にも大きく寄与することができると期待している。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (44件) (うち国際学会 23件、 招待講演 23件) 図書 (1件)
Proceedings of 7th IEEE Congress on Information Science and Technology (CiSt), Agadir - Essaouira, Morocco, 2023
巻: - ページ: 587-592
10.1109/CiSt56084.2023.10409998
情報処理学会論文誌
巻: 65(2) ページ: 305-321
Sami Uljas & Andreas Dorn (eds) Crossroads VI: Between Egyptian Linguistics and Philology Lingua Aegyptia Studia Monographica 30 Hamburg: Widmaier Verlag
巻: - ページ: 147-157
音韻研究
巻: 27 ページ: 89-102
計量国語学
巻: 34(4) ページ: 273-288
ドイツ研究
巻: 58 ページ: 6-15
10.57301/deutschstudien.58.0_6
Diliana Atanassova et al. (eds.), Pharaonen, Moenche und Gelehrte: Auf dem Pilgerweg durch 5000 Jahre aegyptische Geschichte ueber drei Kontinente. Wiesbaden: Harrassowitz
巻: - ページ: 556-574
長谷川岳男(監修)遠藤 直子・丸亀 裕司(編) 『西洋古代史研究における史資料の安定的利用をめざして』東京:東洋大学人間科学総合研究所
巻: - ページ: 35-42
日本語の研究
巻: 19 ページ: 37-52
10.20666/nihongonokenkyu.19.2_37
方言の研究
巻: 9 ページ: 173-193
日琉諸語の記述・保存研究
巻: 1 ページ: 43-59
10.15084/0002000047
情報知識学会誌
10.2964/jsik_2023_011
Proceedings of the Second Workshop on Resources and Representations for Under-Resourced Languages and Domains (RESOURCEFUL-2023), Stroudsburg, PA: Association for Computational Linguistics (ACL)
巻: - ページ: 86-91
Mika Hamalainen et al. (eds.) Proceedings of the Workshop on Natural Language Processing for Digital Humanities.
巻: - ページ: 120-124
言語資源ワークショップ発表論文集
巻: 1 ページ: 235-244
10.15084/0002000131