研究課題
研究活動スタート支援
本研究では日本に受け入れられた西洋の性科学が、日本という窓口を通って、韓国へ広がる様相を調べ、そこから日本の性科学と、韓国の性科学との相違点を考察し、日本における性科学の研究の研究対象や内容を更新することができた。とりわけ、性科学ブームに欠かせない「書籍」に着目し、書籍の流通や検閲、韓国の雑誌や新聞などに見られる日本の性科学という知の広がりを掴み取り、最終的には韓国における性科学の展開の内実を考察した。
比較文学
従来は、西洋の性科学が日本に定着していく受容史のみが論じられてきたものの、本研究では、日本は西洋の性科学を受容して韓国へ発信したという観点から、日本における性科学の受容・他国への発信を論じるという学術的な意義を持つ。また、日本と韓国の検閲記録を詳細に比較できたことも本研究の意義の一つである。これまでは、検閲制度の比較に焦点が当てられてきたが、本研究は記録内容を読み比べ、日本では発売禁止処分を受けていない性科学の書物が、韓国へ輸入されたり、韓国で販売されたりした際に、規制を受けたことを証明した。