研究課題/領域番号 |
20K21993
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
長縄 祐弥 拓殖大学, 外国語学部, 助教 (70880508)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | スペイン語学 / 前置詞 / 多義 |
研究実績の概要 |
2020年度ではスペイン語の前置詞が有する「手段」の意味に焦点をあて、この意味を有する前置詞であるa, con, enをとりあげ比較考察をおこなった.先行研究のなかには、「手段」の意味に関して特にaとconの差異について考察をおこなっている研究はあるものの、aはconに比べて道具のニュアンスを強調していると述べる研究がある一方で、道具ではなく方法を表すと述べる研究もあり、主張が研究者によって異なっている.そこで、今回は特定の前置詞に限定するのではなく、意味に焦点をあてることで複数の前置詞の意味の比較考察をおこなうことを念頭におき、具体的にはこれら3語の前置詞に道具や器具を表す名詞(la'piz「鉛筆」、pluma「ペン」、cuchillo「ナイフ」、tenedor「フォーク」、cuchara「スプーン」、microondas「電子レンジ」、teclado「キーボード」)を共起させ、コーパス(CORPES XXI)を用いてそれぞれの出現件数を調べた.
共起させた名詞はそれぞれ筆記具、カトラリー類、場所とも捉えられる道具として分類できるが、これらのカテゴリーで前置詞が使い分けられるというよりはむしろ語によってaと使われやすい語、conと使われやすい語が存在し、同じ道具であってもa tenedorやa cucharaのようにaが用いられない例も確認された.この理由についてはより深い考察をおこなうつもりである.一方で、microondasやtecladoは道具ではあるが、その形状が箱形あるいは平面であるゆえにaやconよりもenが用いられやすいことが明らかになった.このように手段の意味でenが用いられる名詞を検証し、その適用範囲についても引き続き考察をおこなっていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨今の状況により、申請時に計画していたスペインへの渡航がかなわなかったものの、滞りなく研究は進められている.2020年度は2020年10月10日、日本イスパニア学会において口頭発表をおこなったのみであったが、研究計画書に記した内容のとおり、この半年の間におこなうべき作業は完了している.この作業内容を基盤に2021年度も引き続き資料およびデータ収集、学会や研究会での発表などの研究活動を進めていく.それゆえ、「おおむね順調に進展している」といえると考える.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も引き続きデータ収集に努め、前期には口頭発表をもとにした論文を提出する予定である.また、その内容をさらに発展させたものについては学会および研究会にて口頭発表をおこない、2022年度の前期を目処に論文を提出する予定である.事情が許せば、スペインへの渡航を視野に入れるが、国外研究がかなわないとしても、研究成果をあげられるよう努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、国内学会の発表がオンライン開催になったこと、さらに当初予定していたスペインへの渡航が不可能になり、旅費として申請した助成金が未使用額として計上されている状態である.ただし、2021年度に情勢が許せば、2020年度分の旅費を使用することで、夏期および春期の2度、スペインへの渡航をおこなうことを考えている.
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