研究課題/領域番号 |
20K22010
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田瀬 望 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60876035)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | 社交 / 結社 / フリーメイソン / 女性 / ジェンダー / 啓蒙 / フランス革命 / 慈善 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、18世紀フランスの女性メイソンの存在に着目し、啓蒙期からポスト革命期のフランスにおけるフリーメイソン社交空間の形成と展開についてジェンダーの観点から分析するものである。2020年度は研究計画の1年目であり、18世紀フランス・ヨーロッパのジェンダー史やフリーメイソンに関連する研究文献および一次史料の調査と収集に努めた。コロナ禍により、予定していたフランスでの史料調査を断念したが、フランス国立図書館に複写依頼を出したり、フランスやアメリカの研究者と電子メールで連絡をとることで、Ksenia Elovskikh, La franc-maconneri d'adoption : Les femmes actrices de la sociabilite;(パリ第4大学修士論文、2012)をはじめとする当該テーマに関連する未刊行学位論文をいくつか入手でき、読解を進めつつ研究状況の把握に努めた。そのほか、史料集British Freemasonry, 1717-1813(Routledge社、5巻本)を取り寄せることができ、女性メイソンに関する部分を中心に読解を進めている。 先行研究と一次史料の収集と分析と並行して、2020年12月にオンラインの学会と研究会で2件の口頭報告を行い、本研究課題である女性メイソンに関する内容も盛りこみ、国内研究者と意見を交換した。そのほか、フランスのフリーメイソン研究所(IDERM)が主催する研究集会と論文集の出版のために、「La franc-maconnerie bordelaise et le monde colonial au XVIIIe siecle(18世紀ボルドーのフリーメイソン団と植民地世界)」と題する論文を執筆し、フランスの主催者・編集者に提出し受理された(2021年夏に出版予定)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フランスのコロナ禍の状況悪化によって現地での史料調査を断念したことに加えて、現地のロックダウンや郵便事情の悪化により、フランスの書店からの書籍の取り寄せや図書館の文献複写サービスに非常に時間がかかっているため、研究動向の把握や一次史料の収集・読解・分析が十分に行えていない状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
フランスの新型コロナワクチン接種の進展およびロックダウンの緩和によって、2021年内にフランス渡航が可能になれば、史料調査を実施するつもりである。しかしながら、引き続き渡航と史料調査の実施が困難となる可能性が高いため、文書館所蔵史料ではなく刊行史料を用いたり、Academia、Google BooksやOpenEditionなどで公開されている史料や文献の読解と分析を中心に進めるかたちで研究課題を遂行する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ禍による渡航や移動の制限、学会や研究会の延期やオンライン化により、国内外での出張や調査、学会報告ができなかったため、旅費を次年度に使用することとした。
|