「延喜・天暦聖代」という語があるように、平安貴族は特定の時代を規範とすることがあった。従来の日本史学では特に「延喜・天暦」「聖代」という語に注目して研究が進められてきたが、「聖代」という語が直接記されない事例や「延喜・天暦」以外の聖代についての研究は遅れがちである。本研究では、古記録によって先例のデータを収集し、どのような時代が規範となるかの傾向をさぐり、また歴史物語や説話集において語られる聖代との相違についても検討した。またその調査の中で、先行研究の少ない摂関期以降の祥瑞についての記事も収集し、その実態の解明を行った。
|