研究課題/領域番号 |
20K22013
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
大鳥 由香子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (90882316)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 児童保護 / 難民保護 / 移民法 / パスポート / 帰化法 / 子ども / 移民 / 市民権 |
研究実績の概要 |
2020年度はCOVID-19の感染拡大の影響により、研究計画を随時見直しながら進めることになった。ハーバード大学大学院歴史学部に提出する博士論文については、提出を延期し、その後の書籍化を見越して論文の質を上げることに専念した。その一環で、米国の移民法と帰化法に関する議論を本格的に組み直し、オンラインでの史料調査を追加で行い、結果として本研究の課題にも関わる新たな知見を得ることができた。この議論については、2020年秋には米国の学会誌に投稿する論文を準備したが、2021年に訂正のうえ、再投稿の予定である。
このほか、2021年1月にはアメリカ歴史学会(AHA)のVirtual Seminar on Chronological Ageに参加した。このセミナーは、オンラインで行われ、申請者以外の参加者は全て欧米を拠点としていた。日本では真夜中に当たる時間に討論をするのは難しかったが、歴史学が年齢や世代と言った概念をどのように用いるかについての最先端の研究に触れることができた。申請者も博論の一部について報告を行い、高い評価を得た。2021年3月には、このセミナーでの意見交換を踏まえ、1890年代から第一次世界大戦前のエリス島の移民局における入国審査における子どもと年齢、身体に関する章を書き直した。博士論文については、2021年中にオンラインで審査を行う予定である。
このほか、ボストン日本人研究者交流会東京支部において、エリス島における移民の入国審査の歴史に関する一般向けの講演を行なった。また、昨今の米国の情勢を受け、BLM運動に関する研究報告の機会をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の拡大により、オンライン授業の準備や課題の採点に想定以上の時間を取られることになった。このため授業期間には研究を行う時間が十分に取れなかった。また夏季には入院加療の必要があった。さらに研究目的での渡航も難しいが、米国の史料館の再開に時間がかかっており、史料の取り寄せが難しい状況である。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19のため海外渡航の見通しが全く立たないため、基本的にはオンラインなどで入手できる史料を中心に研究を続けるという姿勢に変わりはないだろう。また当初想定していたよりも時間をかけて博論の修正を進めるうち、本研究の申請時にはそれほど重視していなかった帰化法と移民法に関する議論を練り上げることができた。本研究で当初予定していたのは1920年代に関する分析であるが、調査の過程で第一次世界大戦以前における児童保護と移民法制の接点について掘り下げる必要性を感じ、そちらを進めることになった。このため、本研究の中心となることを想定していたRuth Frances Woodsmallの文書についての分析は遅れているが、随時進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で国外での史料調査や学会参加、国外からの史料の取り寄せなどについての予定の見通しが立たなかったことで、次年度使用額が生じた。これらについては、米国の史料館の再開などに合わせて、今年度使用する予定である。また、今年度は年度末に海外渡航が可能になるかどうかで、最終的に使用計画を判断することになるだろう。
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