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2020 年度 実施状況報告書

植民地初期台湾における開発政策の形成と展開ー総督府と政商の関係性から

研究課題

研究課題/領域番号 20K22024
研究機関九州大学

研究代表者

蒋 允杰  九州大学, 韓国研究センター, 学術研究員 (70886530)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード政商 / 明治日本 / 近代化 / 植民地 / 製革業
研究実績の概要

本課題では、研究計画において示した通り、主として①植民地初期における台湾総督府の人的構成および開発政策、②植民地初期台湾における賀田の事業活動、③明治期における賀田の経歴と人的ネットワーク形成過程の検討、という三つのテーマを設定した。ただ新型コロナウィルスによる海外渡航禁止などの状況より、台湾に焦点を当てることなく、③と関連する日本史から視点を考察することに集中した。
具体的に、令和2年度の研究活動として、日本各地の図書館、公文書館(東京・広島・佐賀・山口・福岡)を訪問し、大倉組や賀田組の朝鮮進出、そして明治期産業史に係る資料の収集を試みた。また、台湾関係の史料については上記課題①の準備作業として『台湾協会会報』や『台湾日日新報』から必要な文献を取り集めた。そこから明治政府と政商の関係、及び事業推進のあり方や軍部との繋がりなどについて、理解を深めることができた。
その結果として、同年11月に開催された政治経済学・経済史学会九州部会にて明治日本の政商たちに関する研究成果を報告している。そして、そこで得られた知見をまとめたのが、令和3年3月に発表した「近代日本における製革業の展開と再編:植民地朝鮮進出の経緯から」である。これらの成果では、これまでの研究史において空白があった日本の政商と植民地朝鮮との関係性を把握しようとした。まだ台湾を本格的な舞台として取り上げてはいないものの、「帝国」と「植民地」とを結ぶ政策的関係性を探るにあたり、重要な論点になると言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルスの拡散により、本研究助成の交付がなされた9月以降も台湾・韓国での踏査や研究活動が非常に困難かつ制約される中で、日本で遂行できるテーマ(上記の課題③)に絞って、文献資料の収集・分析に取り組んできた。その結果として学会報告と研究論文の発表も可能となったが、とはいえ、海外における最新の研究動向を取り入れ、内容を深化させるまでには至らなかった。特に、台湾における資料調査及び新たな研究題材の発掘は残りの期間中の大きな課題でもある。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策については、基本的に当初計画した課題を大幅に変更することはないが、海外渡航が実質的に不可能な現状、また国内研究機関への入構制限などによる活動縮小を踏まえ、適宜対応していく予定である。
したがって令和3年度は、まず可能な範囲で最終的な研究課題の達成を目指していきたい。オンライン閲覧可能な日・台・韓のデジタルアーカイブを活用するとともに、日本国内での現地調査体制を強化する。秋以降に新型コロナウィルス事態がある程度収束すれば、時間を有効活用して台湾と韓国での調査に当てていく。なお、研究結果については、夏から秋にかけて日韓の学会でオンライン報告を計画しており、さらに年内に2本程度の論文を完成して学会誌に投稿する予定である。これらのうち一本については英文化を通じて英語の雑誌に発表することを目指している。

次年度使用額が生じた理由

令和2年度における新型コロナウィルスの世界的な拡散に伴い、日本からの海外渡航が原則不可能になったため、現地調査予算の規模を大幅に縮小、断念せざるを得なかった。また、自ら直接確認できない海外からの書籍購入の予算執行も極めて控えた。
令和3年度の繰越予算では前年度の計画を維持する形で、改めて海外渡航や書籍費、翻訳費などに当て、十分な研究活動を実践していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 近代日本における製革業の展開と再編:植民地朝鮮進出の経緯から2021

    • 著者名/発表者名
      蒋允杰
    • 雑誌名

      九州大学韓国研究センター年報

      巻: 21 ページ: 37-49

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 近代日本製革業の植民地進出2020

    • 著者名/発表者名
      蒋允杰
    • 学会等名
      政治経済学・経済史学会九州部会

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公開日: 2021-12-27  

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