本研究は、中近世移行期から明治期のSTI(性感染症)に注視し、それらについて著した医書・日記等を分析することで、STI観および買売春観の歴史的変遷の解明を目指したものである。これまで江戸から明治頃までを対象としたSTIについての研究は、その対象のほとんどが梅毒に限られてきた。しかし本研究をとおして、当時において「瘡毒」(梅毒)として語られたもののなかには梅毒以外のSTIも含まれていたであろうこと、明治に至り検梅がはじまりSTIが区別されていったのちも、そのあり方はなかなか変化をみせなかったこと等を明らかにした。
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