研究課題/領域番号 |
20K22039
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
村橋 勲 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 特任研究員 (00882333)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 家(home) / 物質性(materiality) / 年齢世代交代 / 難民キャンプ / 南スーダン / ロピット |
研究実績の概要 |
本研究は、ケニアの難民キャンプでのフィールドワークに基づき、「伝統的な」モノを製作し、使用して行われるパフォーマティブな文化的実践をとおして、南スーダン難民がどのように家郷(homes)を創造するかを明らかにするものである。研究の目的は、内戦や紛争という社会的状況において離散した地域共同体の成員が新たな社会文化的構成を作り出す動態から1.個人と共同体が帰属意識を新たに創出、確認する過程において、身体やモノがどのように行為主体的に働きかけるか、2.パフォーマティブな文化的実践において、変化する社会関係、社会的役割、慣習的規範、道徳的価値がいかなるやり方で反映されるか、を探求することである。 一昨年度に引き続き、2021年度も新型コロナウイルス感染症拡大のため、ケニアのカクマ難民キャンプでのフィールドワークは実現しなかった。そのかわり、電話やSNSを介して、インフォーマントであるカクマのロピット人と連絡をとりあいながら、ロピットの各地域集団の首長や年齢階梯、そして故郷の村落とカクマの難民コミュニティとの繋がりについて聞き取り調査を実施した。 また、2022年1月には、ロピット南部の3つの地域集団において、それぞれ年齢世代交代の儀礼が執り行われた。年齢世代交代は22年に一度行われ、交代の儀礼は集落全員が参加するもっとも重要な儀礼であるばかりでなく、学術的にも貴重であると判断される。そのため、調査協力者に儀礼の仔細を記録、収集することを依頼した。インフォーマントが記録したデジタルデータについては2022年度に回収する予定である。 また、3月に本研究に関連する著作を編著者として出版した。また、これまでウガンダで行ってきた難民移動の歴史と食生活に関する論文を発表し、関連する口頭発表を行った
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大のため、調査予定地であるケニアのカクマ難民キャンプでのフィールドワークは遂行できなかった。代替策として、調査協力者に、カクマや南スーダンのロピットの集落で執り行われた儀礼の記録と収集を依頼した。調査協力者をとおして収集したデータの整理と分析については2021年度中に行う予定であったが、キャンプのインターネット環境の問題で、メールやSNSでのコミュニケーションが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2022年度は、2021年度にロピットの調査協力者に対面で会うことで、これまでに記録されたデータの回収と分析を行う計画である。そのうえで、ロピットにおける首長と年齢組織に関する歴史をまとめた報告書又は論文を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大のため海外でのフィールドワークができず、旅費の使用が国内での研究会参加に係るものに限られたことによる。2022年度は、アフリカでの調査研究が可能になると想定されるため、旅費の大部分がフィールドワークに充てられる予定である。
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