研究課題/領域番号 |
20K22044
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研究機関 | 京都精華大学 |
研究代表者 |
藤枝 絢子 京都精華大学, 国際文化学部, 講師 (60598390)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 伝統的住居 / 南太平洋島嶼国 / ヴァナキュラー建築 / 在来知 / 技術訓練学校 / フィジー / バヌアツ |
研究実績の概要 |
南太平洋島嶼国の村落の伝統的住居は、建築物に直接関連する知識や技術だけでなく、コミュニティの日常の中で蓄積されてきた知恵や工夫、技能などを含めた「伝統的住居の建設をめぐる在来知」によって建設される。しかし、村落を取り巻く状況は変化し、伝統的住居は減少の一途を辿っており、建設をめぐる在来知は消滅危機にある。現代の状況に即した新たな継承機会の創出が必要とされるなか、本研究では、フィジーとバヌアツを対象とし、技術訓練学校を事例とし、伝統的住居の建設をめぐる在来知の性質と教育機関の特性から、新たな継承の場としての可能性を検証することを目的とする。 本研究では、フィジーとバヌアツの伝統的住居を対象とし、建設をめぐる在来知の新たな継承機会の創出を視座に、大工養成コースを有する技術訓練学校を具体例とし、在来知の性質と教育機関の特性から、その新たな継承可能性を検証することを目的とする。 1年目(2020年10月~3月)では、過去の再建プロジェクトの記録、遠隔での現地関係者との連絡を通じて、フィジー、バヌアツにおける伝統的住居の建設をめぐる知識や技術、また自然資源管理や共同労働など日常に織り込まれた知恵や工夫、技能を在来知として抽出し、整理するとともに、在来知の継承の機会(日常や建設経験)、対象単位(血縁者、村落)、方法(経験の共有、口承等)を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、伝統的住居の建設をめぐる在来知に関する補足情報の収集および技術訓練学校の基礎情報を収集するために、バヌアツ(2021年3月)、フィジー(2021年5月)での現地調査を予定していた。しかしながら、新型コロナウィルスの影響により、2021年3月のバヌアツへの現地調査を実施できず、2022年5月に予定していたフィジーへの現地調査もキャンセルした。伝統的住居の建設をめぐる在来知に関しては、これまで収集した情報の整理、現地関係者へのメールによる補足調査である程度の情報が収集できた。これまでに記録していなかった日常における知識習得や伝達に関しては不十分である。また、技術訓練学校に関する情報については、現時点では基礎的な情報を入手しているものの断片できな情報にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目では、主にバヌアツとフィジーにおける伝統的住居をめぐる在来知の性質の分析、大工コースを有する技術訓練学校に関する情報収集、学習・教授の特性を分析、これらの分析をふまえて、技術訓練学校における在来知の継承可能性範囲を検証する予定である。 新型コロナウィルスの状況を考慮し、現地調査の延期を前提とし、上記研究活動をすすめる予定である。まず、1年目の情報整理にもとづき、伝統的住居をめぐる在来知の性質の分析を開始する。また、大工コースを有する技術訓練学校に関する情報収集においては、2021年の8月にバヌアツとフィジーにて教師や生徒の属性や背景、現状のカリッキュラムに関する情報を収集する予定であるが、同時に文献調査、遠隔でのヒアリングでの情報収集、これらの情報の基づく分析の可能性の検討をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により現地調査(バヌアツ1回)を実施できなかったため、現地調査にかかる費用(渡航費、現地調査補助費、車両借り上げ費)を繰り越した。
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