• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

南太平洋島嶼国における伝統的住居の建設をめぐる在来知と発展的継承に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K22044
研究機関京都精華大学

研究代表者

藤枝 絢子  京都精華大学, 国際文化学部, 講師 (60598390)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワード伝統的住居 / 南太平洋島諸国 / ヴァナキュラー建築 / 在来知 / 技術訓練学校 / フィジー / バヌアツ
研究実績の概要

南太平洋島諸国の村落の伝統的住居は、建築物に直接関連する知識や技術だけではなく、コミュニティの日常の中で蓄積されてきた知恵や工夫、技能などを含めた「伝統的住居の建設をめぐる在来知」によって建設される。しかし、村落を取り巻く状況は変化し、伝統的住居の建設は現状の一途を辿っており、建設をめぐる在来知は消滅の危機にある。現代の状況に即した新たな継承機会の創出が必要とされるなか、本研究では、フィジーとバヌアツを対象とし、技術訓練学校を事例とし、伝統的住居の建設をめぐる在来知の性質と教育機関の特性から、新たな可能性を検証とすることを目的とした。
2年目(2021年4月-2022年3月)では、引き続き新型コロナウィルス感染症拡大の状況にともない現地調査を実施できなかった。そのため、1. 過去の再建プロジェクトの記録の整理し、遠隔での現地調査からの情報収集、日本国内での調査をおこなった。1. については、伝統的住居の建設技術の継承を目的とした再建プロジェクトの可能性と課題をまとめた。また、2. については、村落コミュニティを対象に建設技術の在来知の継承を下支えする自然資源管理や共同労働などを整理した。1. 2. については、国際会議/学会での口頭発表、論文にまとめて発表した。3. については、フィジーやバヌアツでももちいられる茅葺きに着目し、日本の茅葺技術と技術継承について茅葺職人へのヒアリングをおこない現代における継承方法、課題と可能性について把握した。調査結果は技術的、人的に新たな継承可能性の方向性を示唆するものであり、バヌアツやフィジーを考察するために反映できると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、伝統的住居の建設をめぐる在来知に関する補足情報および技術訓練学校の基礎情報を収集するために、バヌアツ、フィジーでの現地調査を予定していたが、新型コロナウィルスの影響により、これまで現地調査を実施できていない。
伝統的住居の建設をめぐる在来知に関しては、これまで収集した情報の整理、現地関係者へのメールによる補足調査で基礎的情報を収集してきた。しかし、技術訓練学校に関する情報については、現時点では基礎的な情報を入手しているものの断片的な情報に留まっている。現地調査が実施できない状況に対応するため、2021年度には、フィジーやバヌアツでももちいられる茅葺きに着目し、日本の茅葺技術と技術継承について茅葺職人へのヒアリングをおこない現代における継承方法、課題と可能性について把握した。日本国内での調査結果は新たな継承可能性の方法を技術的、人的に示唆するものであり、バヌアツやフィジーを考察するために反映できると考える。

今後の研究の推進方策

これまで新型コロナウィルス感染拡大の影響により現地調査ができず、文献調査や遠隔での情報収集を中心におこなってきた。しかしながら、2022年度開始時において、フィジーへの渡航が可能となっており、2022年夏よりバヌアツへの入国制限も緩和される予定とされており、2022年8月、2023年2月-3月に現地調査を行う予定である。現地調査をおこなうことによって、在来知にかんする補足調査をおこなうとともに、特にこれまで調査ができてこなかった技術訓練学校に関する情報を収集し、技術訓練学校における学習・教授の特性の分析をおこなう予定である。また、2021年度に実施した日本の茅葺技術と技術継承について茅葺職人へのヒアリング調査結果を集約し、学会発表および論文にてまとめる予定である。現地調査の結果や国内での調査の結果をふまえながら、本研究課題の目的である技術訓練学校における在来知の継承可能性についての分析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大により当初予定していた研究課題の調査対象地(バヌアツ、フィジー)での現地調査ができなかったため、これらの渡航費用や現地調査にともなう謝金を繰り越したため次年度使用額が生じた理由である。2022年度開始時においては、調査対象地への入国制限が緩和されており、現状が継続される場合においては2022年8月、2023年2-3月に現地調査を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Comprehensive Approach to Sustaining Vernacular Architecture in The Local Context: Case Study in Tanna Island, Vanuatu2021

    • 著者名/発表者名
      Fujieda, A., Nishijima K., Kobayashi H.,
    • 雑誌名

      Proceedings for the international conference on Earthen and wood vernacular heritage and climate change

      巻: - ページ: 110-115

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域コミュニティのレジリエンスの多遍性(pluriversality)-バヌアツ の離島における自然災害のレジリエンス-2021

    • 著者名/発表者名
      藤枝絢子
    • 雑誌名

      国際開発学会第22回春季大会大会論文集

      巻: - ページ: 50-55

  • [学会発表] Comprehensive Approach to Sustaining Vernacular Architecture in The Local Context: Case Study in Tanna Island2021

    • 著者名/発表者名
      Fujieda A., Nishijima K., Kobayashi H.
    • 学会等名
      International conference on Earthen and wood vernacular heritage and climate change
    • 国際学会
  • [学会発表] 地域コミュニティのレジリエンスの多遍性(pluriversality)-バヌアツ の離島における自然災害のレジリエンス2021

    • 著者名/発表者名
      藤枝絢子
    • 学会等名
      国際開発学会第22回春季大会大会
  • [学会発表] Sustainability of vernacular architecture in the Modern Context2021

    • 著者名/発表者名
      Fujieda A
    • 学会等名
      The 12th International Convention of Asia Scholars (ICAS 12).
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi