研究実績の概要 |
令和2年度は、①分担管理原則に関する内外の稀少な文献を収集・考察すると共に、②本研究に関連する博士論文の一部を雑誌上で公表することができた。 ①海外の文献としては、研究計画に沿って、Ulrich Koch, Das Ressortprinzip, 2007と、Matthieu Caron, L'autonomie organisationnelle du Gouvernement, 2015を考察した。特にドイツの内閣構造の歴史的成立過程については、同国の内閣構造と日本のそれとの関係が明らかであり、考察の意味は大きいと考える。ただ、日本に同原則に関するまとまった文献は極めて少なく、日本で理解されている曖昧な同原則の内容を正確に把握するまでには至らなかった。これについては来年度の課題としたい。 ②また、本研究に関連する論文として、沼本祐太「行政組織編成権の日独仏比較研究--行政各部編成論第一部--」行政法研究37号(2021)129頁以下を公表することができた。この文献の公表に先立って、関西憲法判例研究会(2020年12月26日、オンライン研究会)において研究報告を行なった。さらに、令和3年度末に、沼本祐太「各省における大臣補佐機構の日独仏比較研究--行政各部編成論第二部--」を、京都大学法学論叢において公表予定である。これらの論文では、いずれも分担管理原則を考察することの重要性について言及しており、この原則が行政各部についての多様な問題群に影響を与えていることを確認することができた。
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