研究課題
研究活動スタート支援
公法学・実務において再三語られつつも、内容の不明確な概念にとどまっていた分担管理原則に関して、国内外の文献を渉猟・検討した。この概念が、内閣総理大臣による指揮監督権行使を制限する根拠として、あるいは、各省を横断するような不服申立機関の設置を拒絶する根拠などとして用いられており、使用される文脈ごとにある程度区別して議論を行うべきであるとの見通しを得た。研究期間内に研究成果の発表にまでは至らなかったが、今後可能な限り早く発表する。
憲法
分担管理原則は、今日の統治機構の在り方を一部規定した橋本行革において、この大規模な行革を必要としたそもそもの原因の一つであった。しかし、公法学においては、この原則について、従来、明確な定義があるわけではないとされ、分担管理原則が、どの国家機関に何を求める規範なのか、またそもそもそれが憲法上の規範なのかは、今日でも未だに不明確なままにとどまっているのが実態である。そこで、この原則の内容が明らかに成ることによって、現在の統治構造について法学的評価を与えるための一つの基準を明確にすることができる。