本研究では、議院内閣制における法主体の一つと考えられる会派に焦点を当て、これを憲法的に把握することはできるのか、またできるとすればどのような法的性格を有する法主体なのかを比較法的に研究した。その際、日本と同様に議院内閣制が採用され、会派に関する多くの研究成果が蓄積されてきたドイツにおける会派の法的地位をめぐる議論を参考にした。 本研究の結果、現在のドイツ憲法学では、会派の法的地位についての画期的な学説(スヴェン・ヘルシャイト学説)が幅広く支持されており、この学説に依拠すれば、会派を憲法に基づいて、(議会の下位機関たる委員会とは区別される)議会の分岐体として把握できることが明らかになった。
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