研究課題
本研究では、「法的判断における論証の役割はいったい何か、その役割は機械によって代替不能なものなのか」という問いを①機械の判断にはどのような特徴があるのか、また人間の推論実践との相違は何か、②法的判断における論証の意義と役割は何か、という二つの具体的な問いへと分割し、順次それらを解決することでこれに回答を与えることを目標としている。前年度に引き続き、本年は特に上記①について検討および発表に向けた準備を進めた。特に昨年度より注目している2つの問題(法解釈の持つ法学「研究」方法としての側面、数学における証明・法的推論における「理由付け」・AI倫理における「説明性 explanability」の関係性)との関係から、数学基礎論と数学の哲学における既存の議論(とりわけチューリング機械に関する議論)を整理・検討した。これらの研究成果は、執筆に参画した教科書『もっと問いかける法哲学』において既発表論文(「判決自動販売機の可能性」宇佐美誠(編)『AIで変わる法と社会』(岩波書店、2020)第7章)の議論を組み換え、アップデートする形で公表している。もちろん発表媒体の性質上、研究期間内の成果を十分には公表できていないが、2024年度において日本法哲学会学術大会(統一テーマ:AIと法)を含むいくつかの学会において報告(およびそれに引き続く年報等への論文投稿)を予定しているため、残余の研究成果についてはこれらを通じて公表することを予定している。
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法学教室
巻: 523号 ページ: 37-41