本研究では、特に「論証」という営みに着目し、法的判断の性質についての哲学的な分析を行うこと、またそれに基づいて人工知能の裁判への応用という実践的な問題に対して一定の示唆を得ることを目的としていた。人工知能関連技術については技術革新の速度が極めて速いということもあり、検討の必要な論点が研究期間中に変化していたことは研究遂行上の課題であったが、少なくとも昨今のAI倫理に関する議論で注目される「説明性 explanability」という概念と「論証」との間に一定の関係性があること、また「説明性」と自動化の当否に関する問題との間に一定の関係性があることを示すことができた。
|