本研究は、株主による経営者の監視・対話を実効的なものとする法制度(株主権やその行使の前提となる非財務情報開示制度)の課題を抽出し、それらのあり方(解釈論・立法論)を示すものである。現在の役員報酬規制は経営者への規律づけが不十分であるとの問題意識に基づき、諸外国の法制度、議論状況・実証分析、および実務状況を参照しながら、役員報酬規制の目的を明確なものとし、当該目的達成に適した法制度を解釈論・立法論として提示した。また、企業が開示する情報は正確性なものでなければ、株主による監視・対話の実効性が損なわれるとの問題意識の下、米国の証券詐欺訴訟を検証し、訴訟を通じた正確性の確保の機能や限界を検討した。
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