研究課題/領域番号 |
20K22064
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
秋元 奈穂子 立教大学, 法学部, 准教授 (40517877)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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キーワード | 営利的言論の法理 / 情報開示規制 / 情報の商品化 |
研究実績の概要 |
日本において実施可能な判例、論文及び書籍に基づく文献調査をほぼ終了し、論文の執筆を進めている。論文は、情報と商品とが一体化した現代社会における営利的言論の法理Commercial Speech Doctrineの意義・限界について検討しようとするものである。 まず、研究では、通常言論と営利的言論との差異(発信者の利益と受信者の利益)及び営利的言論の経済活動への近接性を、営利的言論の法理が確立した際の判例及び論文により明らかにする。 次に、法理確立後約半世紀を経て、政府による規制手段や営業主体による情報の使用方法が大きく変化し、商品(モノ)と情報との相互依存関係ないし一体化がより一層進展して二つの現象をもたらしたことを示す。論文では、かかる二つの現象を、主として合衆国最高裁の判例の展開を追いながら検討する。一つ目は、禁止規制から情報開示規制への行政手法の変化と、これに伴う強制的営利的言論の法理の展開である。パブリック・ヘルスや市場の公正性担保を目的とする政府規制が営業主体に商品に関する情報開示を義務付ける規制の合憲性につきより緩やかな違憲性判断基準を用いる最高裁判例群から、この文脈において裁判所が営利的言論を経済的行為に近似するものとして捉えていること、受け手の利益という当初の正当化論理をなお維持していることを明らかにする。二つ目は、高度情報化社会において集積されたデータ自体が商品として市場で交換される場合の、プライバシー保護等の観点からの行政規律の合憲性判断である。論文では、代表的最高裁判例の分析から、この文脈においては合憲性審査基準が厳格化するとともに営利的言論における送り手側の利益が重視されるようになってきており、結果として、経済的活動が営利的言論の肩書で憲法上の保護をより手厚く受ける傾向がみられることを示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本国内において実施可能な文献調査はほぼ終了したが、現地(アメリカ)におけるインタビュー調査につき、まとまった時間を取ることができず未実施である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度前半は、引き続き、文献調査に基づく論文の執筆を進める。 更に、申請者は2023年度後期からに研究のためアメリカに滞在する予定であるため、当該期間においてインタビュー調査を実施し、論文の一部としてまとめる予定である。 成果としての論文は、2023年度中又は2024年度前半の発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度中にアメリカにおけるインタビュー調査を実施できなかったため。 申請者は2023年度後期から、在外研究にてアメリカに滞在する予定であるため、滞在地からインタビューを実施する大学等への訪問費用として使用する予定である。
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