これまで、高齢化による年金制度の維持に関する既存研究では、主に個人を家計とみなし議論されてきた。しかし、現実経済では、家計の殆どは夫婦で構成されている。したがって、本研究は現実経済をより反映したものといえ、大きな学術的貢献といえる。 また本研究では、補助金年金制度が年金制度の維持に重要な役割を果たすことが分かった。具体的には、補助金年金制度の廃止は政府の年金支出を下げるのみならず、既婚女性の労働意欲も高め、将来の若年世代への税負担に影響することが分かった。この点は、高齢化が着実に進むアメリカ経済で、補助金年金制度の是非に一石を投じうる重要な示唆といえ、本研究の社会的意義も大きいと考える。
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