研究課題/領域番号 |
20K22092
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
酒本 隆太 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (50880275)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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キーワード | 通貨ポートフォリオ / 投資戦略 / コモディティ価格 / キャリー / モメンタム / 行動ファイナンス |
研究実績の概要 |
当該年度の主な実績は為替とコモディティ先物についての投資戦略についてのそれぞれの論文を著名な国際査誌に掲載されたことである。為替の研究はEuropean Journal of Finance (SJRQ1; ABS3)、コモディティ先物の研究はJournal of Futures Markets(SJRQ1; ABS3)に掲載された。為替の研究では5種類の通貨ポートフォリオ(キャリー、モメンタム、バリュー、ダラーキャリー、相関)のウェイトを予測モデルに応じて変化させることにより、高いリスク当たりリターンを達成できることを示した。更に効用関数ベースの評価指標で評価しても、予測モデルを用いることにより投資家の効用が改善されることを示した。本研究の意義はすべての予測をアウトオブサンプルで行っているため、実際の投資手法として直接に応用できることである。本研究結果はポートフォリオにおける為替リスクのマネジメントに応用 されることが期待される。 コモディティ先物の研究では新しいモメンタムファクターを提案し、従来のモメンタムファクターよりも高いリスク当たりリターンを達成することを確認した。更に新しいモメンタムファクターは行動ファイナンスの情報が浸透するのにはタイムラグがあることを仮定するモデルで説明できることを示した。従来のモメンタムファクターは上記の行動ファイナンスのモデルでは説明できない。本研究はアウトオブサンプルで行っているので、実際のコモディティ先物投資に直接応用することが可能である。更に提案ポートフォリオはインフレーションに対するヘッジ機能があることも研究の中で示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は2つの論文を影響力のある国際査読誌に掲載することができた。昨年度から取り組んでいる長期の共分散リスクに関する研究について査読が1年2ヶ月と長引いたことから、本年度も継続して取り組み、国際査読誌への掲載を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
長期の共分散リスクに関する研究を国際査読誌に掲載させることを目標とする。具体的には今年度投稿をしたさいに指摘を受けた以下の点を改善させる。1点目は長期リスクを利用するモチベーションをわかりやすく説明することである。2点目は、短期リスクはノイズが大きすぎて、プライシングに適していないことをわかりやすく説明することである。以上の点を改訂して、再び国際査読誌に投稿を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で学会発表などの出張が減少したためである。残りの費用はデータベースの購入と論文投稿に充てる。
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