研究実績の概要 |
伝統的経済学では「お金に色はついていない」、金銭はFungibilityという性質を持つと考えた。しかし、両親と義理の両親からの遺産・生前贈与を受け、日本人の男性と女性が子供と配偶者に対する遺贈態度(できるだけ多くの遺産を残したい)はどうのように影響するかを検証した結果、遺産ソース(Source of inheritance)により、異る遺贈態度を持つことが示唆された(Zhou, 2021)。これは心理会計の視点から説明できた。 本研究はZhou (2021)のBloodline-based Family Traditionモデルに基づき、遺産ソースが子供への遺贈動機(Bequest motives)に影響するか否かを検証した。2012年の大阪大学の「くらしの好みと満足度についてのアンケート」から「あなたはお子さんに残す遺産についてどのようにお考えですか。」の質問を利用し、無条件の遺贈動機は利他的な動機、条件付き遺贈動機(Strategic bequest motive)と偶発的な遺贈動機は利己的な動機として分類さらた (Horioka(2014)の分類法を使用した)。実証分析によると、自分の両親から贈与を受けた場合、子供に対する利他的な遺贈動機も持つ傾向が見られたが、義理の両親から贈与を受けた場合、そのような傾向が見られなかった。両親と義理の両親から受け取った遺産・生前贈与はそれぞれ狭い勘定項目を設定され、Zhou (2021)で論じたようにBloodline-based遺贈態度・動機が示唆された。3世代における家族の伝統的な遺贈態度・動機も観察された。 Horioka, C. Y. (2014). Are Americans and Indians more altruistic than the Japanese and Chinese? Evidence from a new international survey of bequest plans. Review of Economics of the Household, 12(3), 411-437. Zhou, M. (2021). Does the Source of Inheritance Matter in Bequest Attitudes? Evidence from Japan. Journal of Family and Economic Issues, 1-21.
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