研究課題/領域番号 |
20K22100
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
柳田 具孝 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (40876249)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | コーポレート・ガバナンス・コード / ソフトロー / 社外取締役 / 取締役構成 / ファミリー企業 |
研究実績の概要 |
ソフトローの一つであるコーポレート・ガバナンス・コード(以下、CGコードと略称)は会社法などの制定法(ハードロー)と異なり、裁判所による法の執行が保証されていない規範である。CGコードは金融庁と東京証券取引所が中心となって策定され、上場企業に適用される行為規範であり、この行為規範に従わない場合にはその旨と理由を開示させるという仕組みを採用している。 平成26年CGコードは本則(1部・2部)市場に上場する株式会社に独立社外取締役を2人以上選任することを原則とした(原則4-8)。そのため本則市場に上場する企業は独立社外取締役を2人以上選任するか、選任しない場合にはその旨と理由を開示しなければならない。本研究では平成26年CGコードが上場企業の社外取締役比率に与えた影響について東証1部・2部に上場する企業を対象に、平成25年(2014年)~平成26年(2015年)の4,272事例を用いて差分の差分法により検証した。CGコード適用が社外取締役比率に与えた影響を検証するため、適用直前の2014年3月期に社外取締役が2名未満の企業をCGコードへの対応に迫られる処置群としダミー変数を付し、政策実施後2015年3月期に時間ダミー変数を付し差分の差分法により分析する。このような平成26年度CGコードは企業の機関構造によって適用を受けるか自動的に決まる外生的なショックであり、自己選択バイアス問題を回避できる利点がある。その結果、平成26年CGコードは社外取締役が2名未満だった企業において社外取締役比率を約8.8%増加させたことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は平成26年CGコードが社外取締役比率に与えた影響を検証することである。データセットの構築に長時間要したが分析を終え、報告に足る分析結果が得られた。その研究成果をオンラインで開催された国際会議にて発表済みである。
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今後の研究の推進方策 |
社外取締役設置を義務付ける令和元年会社法改正や平成30年(2018年)にコーポレートガバナンス・コードの改訂があったことから、本研究との整合性を検討する。また分析結果の頑健性を確認したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスのため予定していた国際会議が開かれず渡航費用分に余剰が生じた。研究の頑健性を向上させるためのデータ購入を検討している。
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