東証1部・2部に上場する株式会社に独立社外取締役を2人以上選任することを原則とした平成26年コーポレート・ガバナンス・コード(CGコード)について上場企業の社外取締役比率を上昇させたことが明らかとなっている。本年度は社外取締役を増加させた平成26年CGコードが企業業績に与えた影響を追加分析した。 これについて3つの仮設がある。まず制度を通した社外取締役の増加は企業業績に影響を与えないとする飾りつけ(window-dressing仮説)である。次に経営者は取締役会構成に関する新制度を無視できないため、効果的な監視を行う社外取締役を任命し企業業績に寄与するという塹壕(entrenchment)仮説である。最後に企業に社外取締役数を増やすよう強制することが最適な取締役会構成とならず、企業業績が悪化するという最適化(optimization)仮説である。追加分析からどの仮説が指示されるか興味深い。結果として社外取締役が企業の将来業績に有意に影響を与えた証拠は得られなかった。そのため社外取締役について平成26年CGコードは実質よりも形式を重視したwindow-dressingだと言い得る。さらに結果の頑健性を確認するためサンプル数を拡大したが結果は変わらなかった。企業にとって社外取締役の人材確保が困難である現状からすれば、人材確保・報酬といった上場コストも相当増大している。分析の結果からすれば社外取締役がそのような上場コストに見合うか疑問であると結論付けた。 また近年の社外取締役の選任にあたってユニークな現象が見られることから、こちらの検証も行った。
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