研究実績の概要 |
Ury, Brett, & GoldbergがGetting Disputes Resolved (1988, Jossey-Bass)で提唱したIRP(Interests, Rights, & Power)モデルによる紛争解決の実践的アプローチの構造を再検討し、このモデルの適用の分析対象として経済先進国における都市再開発事業および幹線道路整備事業等の公共事業事例の抽出を試みた。 日本における事例には、本研究以前に取り組んできた過去の高速道路建設等における用地補償担当者への聞き取り調査の資料の再分析を進めるとともに、近年の事例、特に地権者との説明、補償交渉を進めても、任意合意が成立せず、行政代執行つまり法的な強制収用に至っている案件を検索している。海外の事例としては、米国ボストンの都市部幹線道路の再整備と仏パリ郊外の高速道路建設を対象として資料収集を進めた。 これらの理論枠組みと先進国での事例調査と合わせ、本研究の重視する東南アジアにおける社会基盤整備事業にかかる非自発的移転の状況を検討し、ながらく日本が筆頭ドナーであったカンボジアの事例と、やはり日本が援助を決定しているミャンマーのヤンゴン地域の幹線道路建設の事例に関する資料収集を進めた。 上記の事例に関連する、すでに開示されている資料だけでなく、関係各所への聞き取り調査を特に次年度に予定しているフィールド調査の前段階として予定していたが、新型コロナ感染症の影響で実現させることができなかった。
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