新型コロナ感染懸念により、申請時に予定していた現地でのフィールドワークは不十分だったが、二次的資料により、課題の研究を進めた。 分析枠組みの整理とインド、カンボジアの事例への適用の試みについて、『経営論集』99号に研究ノート「社会基盤整備における紛争の解決支援:紛争解決の構造」として報告した。 カンボジアにおける社会基盤整備事業にかかる住民移転についての諸問題について、現地の英字新聞の検索結果から、事例を再構成し、ユーリ、ブレット&ゴールドバーグの理論枠組みの応用可能性として検討を試み、その成果の一部を2022年7月にカナダ、オタワで開催された International Association for Conflict Managementの第35回年次大会において発表した。当学会への提出論文の査読過程における、評価者からのコメントと合わせ、発表時に、学会参加者との議論、および新たな分析枠組みの可能性等について資料収集を行うことができた。当該課題への解決支援について、この20年ほどの現状についての考察をカンボジアの事例から検討し、2003年7月に開催される国際学会International Association for Conflict Managementに提出し、受領された。 2023年2月末には、ジャカルタ(インドネシア)とバンコク(タイ)を短時間ながら訪問し、当該研究課題に関連し、日本の政府あるいは公的援助にかかる、近年のインフラ整備事業の様子や建設事例および、東南アジア各国の経済、政治環境との関連などについて、資料収集を行った。申請時に予定していた、ミャンマーでの資料収集が当時の準備資料の整い具合とは逆に、現地の政治的問題により、実現できなかった。
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