研究課題/領域番号 |
20K22110
|
研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
萩原 誠 大阪経済大学, 経済学部, 専任講師 (20875116)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
キーワード | 遂行問題 / ソロモン王のジレンマ |
研究実績の概要 |
研究目的は,遂行問題に関して非合理的な個人が存在することを考慮し,より現実に近い状況で研究することである. まず遂行問題に関して簡単に述べる.制度設計者は,ある社会目標を達成しようと考えている.しかし,制度設計者は各個人の選好を観察することができない.そこで,制度設計者は各個人の申告できるメッセージ集合を定義し,また申告されたメッセージをもとにどのように帰結を選ぶかを定義する.この方法を「メカニズム」と呼ぶ.制度設計者は各個人がある均衡概念に従って行動すると考える.制度設計者は,各選好の組に対して,その均衡概念のもとで得られる結果の集合が社会的に望ましい帰結の集合と等しくなることを目指す.これを,社会目標を「均衡概念のもとで遂行する」と呼ぶ. 目的達成のため,以下の2つの研究を進めた. 1つ目は,自分自身以外の好みなどの情報を持たない不完備情報ゲームにおいて,2つの均衡概念でどのような社会目標が遂行かのであるかを特徴づける研究を行なった.論文を査読付国際学術雑誌へ投稿し,査読者から頂いた質問をもとに改訂を進め,再投稿を行なった. 2つ目は,非合理的な個人が存在することを考えた時のソロモン王のジレンマという非分割財配分問題に関する実験研究である.ただし,この研究は当該年度に実験を行ったのではなく,当該年度はデータ分析・改訂などを中心に進めた.論文を査読付国際学術雑誌へ投稿し,査読者から頂いた質問をもとに共著者と相談しながら改訂を進め,再投稿を行なった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1つ目の研究である,不完備情報ゲームにおける二重遂行問題については,査読付国際学術雑誌の査読者から得られたコメントを中心に論文を改訂した.その後投稿し,現在は査読中である.
2つ目の研究である,非合理的な個人が存在することを考えた時のソロモン王のジレンマという非分割財配分問題に関する実験研究では,査読付国際学術雑誌の査読者から得られたコメントを中心に査読者と相談しながら論文を改訂した.その後投稿し,現在は査読中である.
以上より,おおむね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
現在進めている上述の2つの研究の採択されることを目指す.
また,実験研究であるソロモン王のジレンマ問題について,まだ未解決の問題・実験が残されているため,その実験の計画を進める.
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度同様に,本年度もコロナ禍の影響で国際学会・国内学会どちらもオンラインでの開催が多く,旅費の使用分が余っている. 現在進めている2つの研究の英文校正や共著者との相談のための旅費などに次年度は使用予定である.
|