研究課題
研究活動スタート支援
本研究の主な成果は、企業の組織再構築(reconfiguration)の経験が買収成果を高める関係にあることを明らかにした点である。買収は、多くの企業にとって持続的な成長を可能にするための重要な戦略的手段であるが、その成功要因は未だ十分に理解されていない。この課題に対して、本研究では、買収の成功確率を高める企業の経験要因を探索し、買収前の事業部門の新設、分割、結合、再配置、廃止、および売却を伴う一連の組織再構築の実施が買収成果を高めることを確認した。
経営学
本研究の学術的意義は、自社内の再構築経験が与える買収への正の影響とその境界条件を明らかにした点である。買収と組織学習の先行研究では、買収成果を高める組織経験として、買収自体、提携、ジョイントベンチャー(JV)や売却などの他社と関わる取引行為に注目されてきた。本研究では、買収を管理して価値を生み出す能力は自社内での変革経験によっても獲得されることが示唆された。このような発見は、日本企業の買収の成功確率を高め、競争力の向上に貢献することが期待される。