研究課題/領域番号 |
20K22118
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小泉 秀人 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任講師 (80877019)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 特別償却 |
研究実績の概要 |
2021年度(令和3年度)の研究の成果としては、まずこの研究の理論的支柱となるモデルを2つ論文にした。ひとつは、この研究課題の直接的モデル作成にかかわった、Two-sided matching modelのアプローチをとった論文である。当初、一方のサイドは雇用主、もう一方はロボットを含む被雇用者、という設定で分析を行った。高スキル労働者は低スキル労働者及びロボット双方と補完関係にある一方、低スキル労働者とロボットは代替関係にあるといった現実に即した状況では、安定解が存在しない可能性があることを示した。しかし、セミナーや査読者からのフィードバックを得たのち、雇用者と被雇用者という設定から、商品と購入者のオークション市場に設定をかえ、最終的には、Two-sidedからOne-sidedのネットワーク形成ゲームの設定に変更し、現在投稿中である。もうひとつの理論論文は、ロボット税を課すべきかを理論的に分析したものである。こちらの論文は現在ジャーナルからモデル拡張のための修正依頼がある状態ではあるものの、拡張は難しい。 また、実証分析においては、米国で類似する論文が最近発表されたことを受けて、急遽米国と日本の比較分析をする方向に2020年度に切り替えた。現在のところ、帝国データバンクのデータを使って実証分析を行っているが、ロボットに対する補助金の働きをする特別償却制度によって、雇用は減少する傾向は確認されていない。 最後に、この研究課題を進めるにあたって、上記のネットワーク理論論文と実証分析を掛け合わせたアイデアが湧いたことで、別の科研費プロジェクトである、特別償却制度の企業ネットワークを通じた波及効果検証のための研究構想を練れたことも実績と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2つあるモデル論文のうち、一つは修正依頼をもとに再投稿して現在査読中であるが、もう一つの論文の修正依頼は依頼内容の達成が難しく、作業が難航している。また、実証分析においては類似する論文が見つかって方向転換を余儀なくされたこともあって、予定より進みが遅いため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作業が進められる実証分析に集中し、結果をまとめて論文に仕上げることを目標としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる作業遅延並びに国内外のカンファレンスの出席が出来なくなったため。次年度使用額については、主に研究補助員を雇うための人件費と物品購入費にあてる予定であるが、学会・カンファレンス・セミナーの開催状況と渡航状況によっては参加のための費用として使用することも考えている。物品については主に分析のための統計ソフトウェアなどを考えている。
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