研究課題/領域番号 |
20K22119
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 憲 京都大学, 農学研究科, 助教 (00876097)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 共同体 / 多民族 / 伝統的権威 / 信頼 / アフリカ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ザンビア農村部における公共財の共同体管理の実態を例に、公共財の不十分な管理の要因とそれへの対処策を、フィールド実験の手法を援用して実証的に探究することで、経済学の視点から開発現場に貢献することであった。特に、共同体のリーダーである首長あるいは村長の役割の解明、および、彼らの行動を梃に共同体内の協調行動を促す施策の提案、を具体的な目的として設定した。そのための研究実施計画ではフィールド実験を伴う現地調査をザンビア北部のカッパーベルト県の農村を対象に実施する予定であった。しかし世界的な新型コロナウィルス感染症の流行により、2021年年度においても調査実施が叶わなかった。
そのため、本年度は公開されているデータを用いて、村長や首長といった伝統的権威の投票動員に関する役割を検証した。その目的で選挙区ごとの民族多様性指標を伝統的権威に対する信頼度に紐づけて、伝統的権威が住民の投票行動、特に国政選挙に対する投票行動に及ぼす影響を測定した。より具体的には、ザンビアで2009年および2014年に実施されたAfrobarometer調査データから伝統的権威への信頼度を、2010年に実施された国勢調査データから民族多様性指標をそれぞれ計測した。推計には、各民族ごとのホームランドからの距離を民族多様性指標の操作変数として用いた操作変数法を実施した。その結果、様々な民族が居住している地域では伝統的権威への信頼度が低いことが示された。この結果は、住民の国政選挙への投票行動において、民族に基づく投票パターンが希薄化している背景には、伝統的権威への信頼度の低下が機能していることを裏付けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗状況は、国際的な新型コロナウィルス感染症の流行により、現地調査の目途がたたなかったため研究計画および研究方法の大幅な変更を余儀なくされているという観点からは必ずしも満足いくものではない。ただし、公開されているデータを用いた分析を実施することで、現地調査をデザインするうえで重要な示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
公開データによる分析を今年度も引き続き推進していく。
ただし、公開データからは直接的な指標(特に本研究課題にある公共財供給およびその管理に関する変数)が利用不可能である。2022年度には現地調査を実施できる可能性が出てきたため、9月に調査実施の準備のために渡航しサンプリングを行い、10-11月にかけてザンビア北部のカッパーベルト県の農村からそれらのデータを収集する予定である。調査準備として、サーバーの構築と質問票の作成を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際的な新型コロナウィルス感染症の流行のため、調査計画を実行できず、計上していた旅費及び調査に使用する人件費などを使用しなかったため、次年度使用額が生じた。これらについては、研究を推進していくために研究補助業務に関わる人件費や謝金、または現地調査の経費として本年度使用する予定である。
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