研究課題/領域番号 |
20K22119
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 憲 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00876097)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 伝統的権威 / 民族 / 公共財 / 共同体 / 信頼 / リスク / 開発経済学 / アフリカ |
研究成果の概要 |
本研究は、アフリカ農村部における村長や首長といった伝統的権威に対する信頼度の規定要因を検証することで、公共財管理に関する効率的なメカニズムの構築に資する政策的含意を探った。その結果、(1)環境リスクの存在により互助の需要が高い地域、(2)中央政府の行政能力の浸透が困難な遠隔地、(3)政治的競争が低い地域、(4)少ない数の民族で構成されている地域において、伝統的権威への信頼度が高いことを明らかにした。ただしマラウィにおいて実施した調査では、総じて伝統的権威に対して高い信頼度を示す一方で、肥料の補助金クーポンの配布に関しては一部の住民の間で不信感が広がっていたため、文脈に応じた評価が求められる。
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自由記述の分野 |
開発経済学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国家機能が浸透していないアフリカ農村部において、伝統的権威が公共財の供給と管理に果たす役割は大きい。他方で、共同体による運営が機能不全に陥っている事例も散見される。既存研究は公共財供給において、水平方向の住民間の信頼関係の重要性を指摘する。他方で住民と地域リーダーとの間の信頼関係といった垂直方向の社会階層に基づく議論を展開した研究は少ない。伝統的権威への信頼の規定要因を検証した本研究の実証結果は、(1)互助の必要性が薄く、(2)多様な民族が居住する地域では、伝統的権威への信頼は低く彼らを中心とする公共財の供給・管理は困難であることが予想されるため、中央政府による積極的な介入の必要性を示唆する。
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