研究課題
研究活動スタート支援
本研究課題では、近年注目を集める多国籍企業の租税回避行動について、製品差別化という新しい観点から再検証を行ったものである。特に、企業が研究開発をすることによって、税務当局は企業独自の製品や技術に対する適正な取引価格の判断が困難になる点に注目し、移転価格規制が研究開発投資を妨げる可能性について考察を行った。研究の結果、移転価格規制が十分に強化されている状況においては、税収の増加による望ましい効果よりも研究開発の低下がもたらす望ましくない効果を上回ることを明らかにした。
国際課税
多国籍企業による租税回避行動は、OECD諸国が近年議論を重ねるほどの重要な国際課税のトピックであり、移転価格規制の強化は必要な処置だと期待されている。本研究成果は移転価格規制がもたらしうる望ましくない効果に着目をすることで、移転価格規制の議論やルール策定の際に注意すべき点を明らかにするものであり、政策立案に重要な示唆を与えるものである。