研究実績の概要 |
1. "Endogenous Political Trust and Electoral Accountability":政治家のタイプの確率分布に関する不確実性を導入すると分布に関する学習によって政治信頼の内生的変動を描写できるという着想から、政治信頼の内発的変動を盛り込んだ政治的エージェンシー問題のモデル構築に成功し、政治信頼の内生的変動が選挙の持つアカウンタビリティ機能を低下・不安定化させることを示した。この研究は政治信頼の内生的変動が政治家の行動に与える影響を分析した初めての研究であり、政治学のトップジャーナルであるThe Journal of Politics誌に採択された。
2. "Dynamic Dilemma of Political Trust":1の着想を踏まえ、政治信頼と利益団体政治が相互に影響しあいながら内生的に変動するモデルを構築し、政治信頼の高さが利益団体の政治的影響力を強めること、政治信頼と利益団体の政治的影響力のサイクルが内生的に生じることを理論的に示した。本研究はいくつかの学会・研究会で報告済みであり、現在国際学術誌への投稿に向けた最終段階にある。
3.そのほかの研究:以上の1, 2に加えて、いくつかの基礎研究及び応用研究を行った。上述のように政治信頼の不確実性は数理モデル上は確率分布に関する不確実性としてモデル化される。加えて、繰り返し選挙モデルでは有権者の意思決定が最適停止問題の一種となる。以上を踏まえ、高次の不確実性下における最適停止問題に関する研究を基礎研究として行った。また、応用研究として、政治や専門家に対する信頼・不信が人々の政策選好や行動に与える影響に関するサーベイ実験を実施した。
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