本研究の学術的意義は二点挙げられる。まず、第二次安倍内閣の企業統治改革における中長期的な企業価値向上言説に注目し、バブル崩壊後の企業統治改革が第二次安倍内閣の企業統治改革に与えた影響を提起した。企業統治改革に関する言説を遡ることで、第二次安倍内閣の企業統治改革における中長期的な企業価値について理解を深めたと言える。 第二にサステナビリティの概念の曖昧性の議論を企業統治の分野に拡張し、サステナビリティ概念の曖昧さが企業統治改革の制度と実践に乖離をつながっていることを示した。本研究の知見を通してサステナビリティの概念の曖昧さが企業統治改革にどのように反映されるかについて新たな知見を提示したと言える。
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