本研究の成果としては次の三点である。第一に、新制度派組織論についてレビューを行い、理論的発展を整理できた点である。第二に、制度維持が生じる理論的前提を解明した。制度維持は、制度に対する共通理解が難しくなった際に、生じる可能性が明らかになった。先行研究議論された制度的企業家や制度ロジックにより、静画の共通理解が難しくなるのである。第三に、制度維持のメカニズムを解明できた。社会が不安定になると、一時的に新しい実践に組織が取り組んだとしても、再び既存の制度へと戻っていく回帰的変化が生じることが明らかになった。本研究では、この変化を制度維持の回帰メカニズムとして理論化することができた。
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