研究課題/領域番号 |
20K22142
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
片渕 結矢 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (40883450)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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キーワード | 土地利用 / 農地 / 農地取引 / 食の安全保障 / 農地売買 / 非医学的政策介入 / 不動産取引 / 農業用地 |
研究実績の概要 |
本研究は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が有する地価への直接的・間接的な影響を明らかにすること、およびそれら地価への影響の地価分布に基づく異質性を明らかにすることを目的としている。それら目的は、地価および感染症に関するデータを構築し、因果効果測定手法を用いて同質的・異質的な直接的・間接的な影響を明らかにすることで達成される。これまでの研究成果として、2020年度にはマクロレベルのデータベースを構築し、2021年度にはミクロレベルのデータベースを拡充し、分析を進めた。2022年度には、行動変容政策介入が地価に与えた影響に関する研究を行い、その成果を国際誌に発表した。
2023年度においては、農地取引に関する研究を行い、COVID-19関連の非医学的政策介入が日本の農地価格と取引に与える影響を明らかにすることを目的とした。具体的には、「Farmland Transaction under COVID-19-Related Non-Pharmaceutical Policy Intervention」と題した研究を進め、The 68th Annual Conference of The Australasian Agricultural and Resource Economics Society, Australian National University, Canberra, Australiaにて発表を行った。この研究では、非薬物介入政策が地価に与える直接的な影響を分析し、特に農地の取引価格に顕著な下降傾向があることを確認した。この結果は、COVID-19による非医学的介入が農地市場に及ぼす影響の理解を深めるものであり、将来的に農業経済だけでなく、食の安全保障に関わる政策の策定に対しても重要な示唆を提供する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19に関する行動変容を促した政策介入と地価との関連についての研究を行い、学会発表を行い、査読付き国際誌に投稿中である。 同時に、非医学的政策介入が日本の農地価格と取引に与える影響を明らかにする論文を改訂中である。 一方で、新型コロナウイルス感染症の状況により、当初予定していた共著者との議論及び学会参加が不可能であった。 したがって、本研究で2021年度に構築したミクロレベルのパネルデータを用いた研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、現在査読付国際誌に投稿中のミクロレベルのパネルデータを用いたCOVID-19に関する行動変容を促した政策介入と地価との関連についての研究の、改訂対応を行う。 第二に、行動変容政策の地価に対する異質的な影響を計測することを目的とした研究を行い、学会において報告を行ってフィードバックを得て改善し、査読付国際誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の状況により、当初予定していた共著者との議論及び学会参加が不可能であったため、当該次年度使用額が生じた。 次年度においては、共著者との議論および学会参加、英文校閲サービスを含めた論文投稿費での使用を計画している。
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