研究課題/領域番号 |
20K22149
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研究機関 | 星槎道都大学 |
研究代表者 |
畠山 明子 星槎道都大学, 社会福祉学部, 講師(移行) (60886810)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 農福連携 / 中間支援組織 / 社会福祉法人 |
研究実績の概要 |
①障害者の就労支援ならびに農福連携の取り組みに関する先行研究の収集と整理、②農福連携の先進的事例調査を実施した。 まず、①先行研究の収集と整理については、障害者の就労支援は一般就労(雇用政策)と福祉的就労(福祉政策)として組み立てられている。特に福祉的就労に関しては障害者福祉各法を根拠とした授産施設等、法外の小規模作業所の実践が障害者自立支援法の施行に伴い障害福祉サービス体系が一元化され、就労支援がうたわれた。農福連携については2010年代に入り全国規模で実態調査が実施されているが、障害者の地域自立生活、所得保障との関わりから捉える必要がある。合わせて、インターネットや各種文献で紹介されている農福連携事例を収集し、アンケート調査・事例調査の候補リストを作成している。 次に、②事例調査については、北海道内の3事例調査を訪問等により実施した。主に知的障害者の施設入所支援を行っている社会福祉法人Aが農福連携に着手し始めたのは町の農業団体等で構成されるネットワークに参加し、トマトジュースの委託加工を行っている。現在、施設利用者の高齢化により農作業、加工作業に従事できる利用者の確保が困難になっており、療育的な活動に移行している。一般社団法人B(就労継続支援A型)の利用者は精神疾患のある障害者が中心で、養鶏事業を通じて利用者の回復効果が期待できるものとなっている。障害者の自立生活を支援する観点から、工賃向上に還元される商品の開発に戦略的に取り組んでいる。社会福祉法人Cは、「手をつなぐ育成会」という知的障害のある子どもを持つ親の会が中心となって立ち上げた共同作業所が始まりで、事業は就労と住まいのサービスを提供しており、多様な利用者のニーズに合わせて養鶏、お菓子やパン作り等を取り入れてきた。現在は農業法人を設立し、主に町内の化粧品会社に卸す花を栽培している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連する資料の収集、農福連携事例の情報、アンケート調査および事例調査の候補となるリストの作成に取り組んだが、新型コロナウイルス感染症拡大により、訪問先調整を含めて研究開始時期が遅くなったこと、また、障害福祉事業所自体が事業所運営や利用者対応において新型コロナウイルス感染症の影響を受けていることから、アンケート調査や事例調査依頼の受け入れ目途が立たず、コンタクトが取りにくかったことが「やや遅れている」理由である。
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今後の研究の推進方策 |
①アンケート調査については、調査対象事業所等への負担軽減を考慮した形での実施(GoogleFoam等のアンケート機能の活用)、②事例調査は、訪問に代わる方法(Zoomや電話等)での依頼を検討する。先行研究の成果と課題および事例調査の結果分析については、『北海道社会福祉研究』(2022年発刊)等に論文の投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は関連資料の収集(文献の購入等)および訪問調査に代わるZoomにおける調査において、カメラ・マイク機能が内蔵されたノートパソコンおよびスピーカー等、備品を中心に支出を行った。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大により、研究開始時期が遅くなったこと、また、障害福祉事業所自体が事業所運営や利用者対応において影響を受けていることから、アンケート調査や事例調査にかかる費用(調査対象者への謝礼、旅費等)の支出が滞っていた。そのため、今年度は、アンケート調査および事例調査にかかる費用の支出を重点的に行う。
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