研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会的保護政策のより良い施行方法、また政策と合わせてどのような支援が必要であるのかを受益者となる農村世帯レベルから詳細に示すことにある。本研究では農村世帯に対して直接聞き取りを行ない、得られたデータが重要であったものの、本研究が採択された令和2年から令和3年にかけてCOVID-19の世界的蔓延により現地調査のための渡航がかなわなかった。そのため、研究計画当初予定していたものから大幅に進捗が遅れるものとなった。また、当初の計画と内容を大幅に変更し現地調査ができなかった期間(令和2年および令和3年)は、先行研究を整理しなおす作業をおこなった。最終年度となった令和4年は、研究計画からは遅れたもののマラウイへの渡航が可能となり、「現地聞き取り調査」が実現できた。 【令和2,3年度の研究成果】 申請者がこれまで蓄積してきたデータをもとに、農村世帯が十分な量のトウモロコシ消費をするには,トウモロコシ生産量または購入量のどちらを優先して増やすべきかについて検討した。本研究成果は、マラウイで実施している2つの社会的保護政策(農業投入財補助金政策と社会的現金給付政策)の対象世帯を決定する際や、政策実施内容を検討する際に役立つものであろう。 【令和4年度の研究成果】 研究計画当初注目はしていなかった、マラウイ農村世帯が収入や食料の不足時に採用している賃金労働(ganyu)に注目し、分析を進めた。これまでの先行研究では、ganyuを単純に貧しい農民が近所の畑で従事する低賃金労働として捉えてきたが、農村世帯が捉えるganyuは、より広い概念と役割を持つことを明らかにした。本研究成果は、今後マラウイにおける貧困とフードセキュリティ達成を目指す政策立案において役立つものであろう。
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