2022年度は,延長した本研究の完成を目指し,研究発表と成果論文の執筆に注力した。その結果,二つの国際学会での発表と2023年度に向けた国際学会への応募と採択,そして国内学会主催の研究会での研究発表と2023年度に向けた国内学会への応募と採択,そして投稿論文1本と寄稿原稿1本という形で一定の成果をまとめることができた。また,2021年度の活動で確認した「初期テレビ制作現場におけるテレビカメラマンの棲み分けと仕事の分化」という着眼点から調査を実施して,これまであまり言及されてこなかった部内資料を収集することができた。 2020年9月から開始した本研究は,以上の調査・分析に取り組むことを通じて,大阪中央放送局(JOBK)で形成されたドキュメンタリー制作の方途を「Production Culture 制作文化」として記述することに注力してきた。また関連領域の英語文献を読み進めてその研究成果を取り入れ,本研究の成果をSociety for Cinema and Media Studies(SCMS)やInternational Association for Media and Communication(IAMCR)などの国際学会に参加して日本の事例として提示し,意見交換を行なってきた。 これからは,本研究の成果を書籍としてまとめるべく資料の読み込みと分析の精緻化に取り組むつもりである。また,本研究を進める過程で確認した「初期テレビ制作現場における女性制作者の役割とその足跡」という観点は,2022年度から開始した若手研究「フェミニスト・エスノグラフィーを用いたドキュメンタリー表現の制作文化研究」(22K13554)で掘り下げる。この研究課題が完成した暁には,日本におけるフェミニスト・プロダクション・スタディーズの事例分析として広く発信していきたいと考えている。
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