| 研究課題/領域番号 |
20K22158
|
|---|
| 研究機関 | 関西学院大学 |
|---|
研究代表者 |
高橋 味央 関西学院大学, 人間福祉学部, 助教 (80828525)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
| キーワード | 教育と福祉の協働 / 子どもの貧困対策 / 他職種協働 / 学校プラットフォーム |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、教育と福祉の協働による子どもの貧困対策システムの構造と生成過程を明らかにし、「学校プラットフォーム」の実践モデルを構築することである。
検討課題は、1)先駆的自治体でのフィールド調査を通して、教育と福祉の協働による子どもの貧困対策システムがどのように生起し、どのような過程で展開されているのかを描出・解明すること、2)その結果に基づき「学校プラットフォーム」の効果的な実践モデルを構築することである。
2021年度は二つの調査をおこなった。第一の調査では、子ども支援部局の職員および市教育委員会の関係者にインタビュー調査を実施し、教育行政と福祉行政間の協働に焦点化した質的研究をおこなった。その結果、包括的な子ども支援を標榜し、複数回にわたる組織改編によって教育行政と子ども福祉行政が一元化されてきたこと、それに伴いアクター間では価値観の相違や軋轢が生じながらも、両者の「融合」のための協働実践が展開されてきたことが明らかとなった。
第二の調査では、学校と地域組織との協働に焦点化するため、同和地区を有する学校でのフィールドワーク、および教職員と地域関係者・NPO法人の職員にインタビュー調査を行った。その結果、対象校では定期的な地域連携会議や行事の合同開催を通して両者の協働関係を構築していることが明らかとなった。また、それは長年の同和教育の中で培われてきた信頼関係と実践方法の継承によるものであり、そのコミュニティ内では、諸アクターが協働し合う場と文化が醸成されていることが窺われた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の春～夏にかけての新型コロナウイルスの感染拡大により、学校をはじめとする諸機関でのインタビュー調査とフィールド調査の中止や遅延が余儀なくされたため、データ収集に遅れが生じた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
2022年度はさらに追加的なインタビュー調査を実施するとともに、カンファレンスや研修会等、アクター間の協働場面でのフィールドワークを継続し、質的データの量と質の担保に努める。
質的データの継続的な分析をおこない、教育と福祉の協働による子どもの貧困対策システムについて、その構造と詳細な展開過程を描出・解明を試みる。その結果に基づき、本研究の2点目の検討課題である、「学校プラットフォーム」の実践モデルの構築を目指す。
期間中には、メンバーチェッキングを通して結果と知見の質を高めるとともに、学術誌への投稿や研究発表を通して、理論的・実践的示唆を広く発信する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の春～夏にかけての新型コロナウイルスの感染拡大により、学校をはじめとする諸機関でのインタビュー調査とフィールド調査の中止や遅延が余儀なくされた。次年度使用額が発生した要因は、そうした調査にかかる旅費の使用額が、当初の計画よりも低くなったためである。2022年度に請求した助成金は、感染状況を鑑みながら、さらなる調査の遂行と研究成果の発表のための旅費として使用する他、図書購入費やデータ分析にかかる費用に充当する予定である。
|
