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2021 年度 実施状況報告書

エンパワメント・行動変容アプローチに基づく発達障害児の家族支援に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K22159
研究機関志學館大学

研究代表者

前野 明子  志學館大学, 人間関係学部, 講師 (30883516)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワード発達障害児 / 家族支援 / エンパワメント / 行動変容 / 当事者 / 協働 / 地域に根ざしたリハビリテーション
研究実績の概要

本研究の目的は、発達障害児の親のエンパワメントと行動変容の視点に立つ家族支援として、①地域で活動する発達障害児の親グループと専門家との協働で実施可能な行動理論に基づく「親支援プログラム」を開発・実践すること、②当事者である発達障害児の子育て経験者のスキルや知恵を積極的に活用した家族支援方法について検討を行うことである。
本研究は、地域で活動する発達障害児の親グループにおいて、1クール全5回の親支援プログラムを2年間で2クール実施し、発達障害児の家族支援方法としての効果と課題の検証を行う計画である。
初年度の2020年度は、新型コロナウィルスの影響により、予定していた1クール目の親支援プログラムを実施できなかったが、2021年度は、2021年7月~11月に1クール目を実施することができた。1クール目実施後に、参加者8名を対象に①「養育スタイル」、「育児に対する自己効力感」、「抑うつ症状」の参加前後の変化、②事後アンケートについて分析を行った。その結果、参加者の養育スタイルのうち「叱責」が有意に減少し、「相談・ついきそい」が増加する傾向が認められた。また、参加者の子育てに対する自己効力感の変化については個人差が大きかったものの、抑うつ症状については参加後に有意に軽減する効果が認められた。事後アンケートの結果については、参加者全員が「自分の行動に良い変化があった」、「子育てに対する気持ちや考え方の変化があった」と回答していた。また、事後アンケート自由記述の分析結果として、参加者は子どもの行動への肯定的注目を主とした行動理論に基づく「講義」や、参加者相互の子育て上の問題解決を手助けする「グループワーク」など、親支援プログラムの活動を通じて、様々なエンパワメントを経験していたことが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は、1クール目の親支援プログラムを計画通りに実施することが出来た。プログラム参加者への質問紙および事後アンケート調査、インタビュー調査の協力を得ることができ、その分析結果を研究論文として報告した。
2021年度の実施に当たっては、当初すべてのセッションを対面形式で実施する予定であったが、期間中に新型コロナウィルス感染拡大による国の「まん延等防止重点措置」が発出されたことから、第3~5回をオンライン形式に変更して実施した。その代わり解除後に対面のフォローアップセッションを当初予定の1回から2回に増やす配慮を行った。次年度も、新型コロナウィルスの感染状況によっては、対面形式とオンライン形式を併用することにより、コロナ禍での実施も可能と考えている。
1年間の期間延長を認めて頂いたことから、2022年度に2クール目を実施することが可能となった。2022年度はすでに2クール目の実施に向けて、親グループとの協働により具体的な準備を進めているところである。これらのことから、現在の研究の進捗状況は概ね順調であると判断した。

今後の研究の推進方策

最終年度となる2022年度は、2クール目の親支援プログラムを7月~12月に実施する。2クール目実施後も、1クール目と同様に得られたデータの分析を行うことで、当事者である発達障害児の子育て経験者と専門家との協働で実施する家族支援の効果と課題について検討を行う。最終的に2年間の実践により得られた知見を踏まえ、発達障害児の親のエンパワメントと行動変容の視点に立つ家族支援の一方法として、地域の親グループで実施可能な親支援プログラムとして完成させる。同時に、地域に根ざしたリハビリテーションの視点に立ち、発達障害児の親にとって身近な地域の社会資源である親グループを活用した家族支援の実践や、親支援プログラムを地域で継続して実施する意義についても検討を行う。さらには、専門機関が潤沢ではない地方における発達障害児の家族支援の一助となるよう、他の地域におけるプログラム展開の可能性についても検討を行いたい。これらの成果について、引き続き学会発表、研究論文の投稿により公開していく。

次年度使用額が生じた理由

本研究は、2020年度に1クール目の家族支援プログラムを実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響を受け、実施を見送った。そのため、研究期間を1年間延長し、2021年度に1クール目、2022年度に2クール目を実施することとなった。これにより、2022年度のプログラム実施の必要経費として、101024円を使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 発達障害児の親グループと専門家との協働による親支援プログラムの効果と課題の検討(第一報)ー「子どもと自分のいいところ発見プログラム」ー2022

    • 著者名/発表者名
      前野明子
    • 雑誌名

      志學館大学人間関係学部研究紀要

      巻: 第43巻 ページ: 17-32

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 発達障害児の親グループと専門家との協働によるペアレントトレーニングの実践①-ペアレントトレーニング参加経験者をファシリテーターとしたプログラムの有効性の検討ー2021

    • 著者名/発表者名
      前野明子・肥後祥治
    • 学会等名
      日本発達障害学会第56回研究大会

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公開日: 2022-12-28  

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