研究課題/領域番号 |
20K22160
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
中川 宗人 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (40761010)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 組織イデオロギー / 科学的管理法 / 人間関係論 / 構造分析論 / 歴史社会学 |
研究実績の概要 |
2020年度は日本における3つの組織イデオロギーの導入および展開について先行研究の検討と資料の収集を行った。なかでも主に経営史を中心に日本への導入が研究されてきた科学的管理法については、製造業の生産管理に浸透していたことが確認できた。しかし、対象的なイデオロギーと位置づけられる人間関係論については、1950年代にかけて導入の試みがなされたにも関わらず、その後の企業経営に浸透しなかったことが明らかになった。ただし、科学的管理法に関する研究に比べて実証は十分ではなく、なぜ受容されなかったのかついてを、本研究の枠組みに照らしてより精緻に掘り下げる必要があることが明確になった。 また3つ目の組織イデオロギーである構造分析論については、学界における学説としての受容は一定程度みられたが、企業経営における導入という知識社会学的視点での実証的研究は十分ではないことが明らかになった。このこと自体が日本における組織イデオロギーの受容の特徴の一面を表すものであり、その意味をより明確にしていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症による研究施設や図書館施設の閉鎖などにより、資料の収集が予定よりも若干遅れている。また年度途中での研究代表者の研究機関の異動によって実質研究が困難な期間があったことも影響している。そのため、一部の資料の収集については次年度に先送りせざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
資料の収集の遅れはあるが、全体像については大きな修正は不要なレベルである。2021年度は現在のところ大きな障害がないため、研究を推進できる予定である。研究成果の一部を書籍の一部として発表することが決まっているため、その作業を軸にしつつ日本の企業社会の特質を組織イデオロギーの受容という一貫した観点から再構成することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で研究機関や図書館施設の利用が制限されており、資料の収集が困難な場合があったこと、また研究代表者の機関の異動によって研究継続が中断された時期があったことが影響している。そのため一部の資料の収集を先送りせざるを得なかった。2021年度は研究計画通り使用できる予定である。
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