研究課題
研究活動スタート支援
近年の日本雇用型システムの研究において、雇用関係についての意味付けやカテゴリーの歴史的構造の検討が課題となっているが、これまでの先行研究では十分に検討されていなかった。本研究では、こうした側面へのアプローチとして、組織イデオロギーの概念を措定し、重要なイデオロギーとしての人間関係論を検討している。分析結果として、戦後日本における人間関係論の導入はイデオロギー的な側面は沈静化したが、管理技術的側面については受容され、実際の管理に影響していたことが挙げられた。
産業社会学
社会全体の構造を規定する重要な要素となっている雇用関係について、日本の特殊性を解明するアプローチを設定し、データに基づいて新たな歴史像の一端を示してきた。社会的には、現在の日本の働き方を規定してる職能資格制度の1960年代の導入について、組織イデオロギーの影響という新たな領域を提示したことが重要な意義である。社会的には、現在の雇用関係の改善のネックとなっている、雇用カテゴリーに対する意味付けや文化的要素を相対化する知見を一定程度提供できる点があげられる。